自己紹介

前任の薮田館長を引き継ぎ、2025年4月に第5代館長に就任いたしました。私の研究テーマは、大きく分けて二つあります。一つは、幕末から明治期の地域社会の変容や地方自治の形成についてです。卒業論文で、赤穂や姫路でこのテーマをあつかって以来、現在にいたるまで長い間、県内各地域を中心にこの研究を深めてきました。その成果は、研究論文だけでなく、神戸、姫路、赤穂、相生、小野、三田などの自治体史等に反映させていただきました。その際、県下各地の歴史文化関係者の方々には大変お世話になりました。あらためて感謝申し上げます。

もう一つは、地域歴史資料学の実践的研究です。1995年の阪神・淡路大震災時の被災地での、①歴史資料の保存と復興への活用、②大震災の資料保存と震災の記憶継承を課題とした活動を基礎としたものです。災害列島である日本社会において、地域の記憶をいかに未来に向けて継承していくのかという課題を、県内をはじめとして、日本各地の方々とともに考えてきました。またその一環として、2002年に神戸大学大学院人文学研究科に地域連携センターを立ち上げ、県内各地の方々とこれに関わる様々な事業を進めてきました。

館長として、この経験を活かして、県内各地の歴史文化関係者や地域住民の方々と連携し、当館の調査・研究・展示・歴史資料の保存活用機能を充実させていきたいと考えています。また「館長ブログ」のコーナーでは、県内外の歴史文化の動きについて、つぶやかせていただきますので、訪れていただければ幸いです。

これまでの活動・研究

2023年

  • 地域歴史資料のもつ豊かな役割 -阪神・淡路大震災から考える-『歴史の見方・考え方2-史料から広がる歴史学』山川出版社
  • Sonkoly Gábor, 奥村 弘, 根本 峻瑠, 市原 晋平, 加藤 明恵『ヨーロッパ文化遺産研究の最前線』神戸大学出版会
  • 自然災害時の歴史資料の救出と保全—特集 第23回国際歴史学会議ラウンドテーブル 『歴史学研究』歴史学研究会 編 1034号(2023年4月)
  • 大規模災害の記憶の次世代への継承 : 阪神・淡路大震災が問いかけたもの—特集 東日本大震災の復興をめぐる社会的モニタリングの方法と課題 ; 被災地との往還と専門知の検証日本学術会議『学術の動向』(2023年3月)

2020年

  • 『新修神戸市史 生活文化編』新修神戸市史編集委員会編集(奥村弘監修著)神戸市

2018年

  • 地域社会形成史と明治維新、明治維新学会編『講座明治維新』12巻
  • 2025年5月17日
    「地域の記憶を守り伝える  ~阪神・淡路大震災30年の経験から~」 高知県立高知城歴史博物館記念講演会
  • 2025年1月11日
    「境界を越えて-実践的研究と教育の展開」神戸大学阪神・淡路大震災30年シンポジウム、神戸大学百年記念館
  • 2024年10月17日
    「新型コロナウィルス感染症をめぐる資料・記憶の保全と記憶の継承のために」第62回全国大学保健管理研究集会、神戸国際会議場
  • 2022年11月22日
    「 記憶を未来へ ― 歴史文化関係者と市民の協働による 地域歴史資料防災に関する日本の30年間の取り組み ―」第3回 ユネスコ「世界の記憶」 グローバル・ポリシー・フォーラム特別講演、京王プラザホテル
  • 2021年11月4日
    「地域歴史遺産-地域社会の歴史文化を未来に継承するために- 」ICOM-DRMC年次大会 基調講演、東京国立博物館

国立大学法人神戸大学理事副学長、国立文化財機構文化財防災センター有識者会議委員、日本学術会議連携会員、国立歴史民俗博物館外部評価委員・機関拠点型研究アドバイザリーボード委員、兵庫県兵庫津ミュージアム運営委員会委員、福島県立博物館収集展示委員会委員、三田市文化財審議会会長、明石市文化財審議会委員、明石市史編さん委員会委員長、三木市史編さん委員会副委員長、丹波篠山市史編さん委員会副委員長、図説赤穂市史編さん委員会委員長、歴史資料ネットワーク代表委員