自己紹介

民俗担当の香川と申します。担当する展示室は「こどもはくぶつかん」、「ひょうごの祭り」、それから「歴史工房」の「昔のくらし」のコーナーです。

主な研究テーマは、「妖怪」と「玩具」です。平成18年に総合研究大学院大学に「妖怪」に関する博士論文を提出し、博士号を取得しました。当時、日本の妖怪研究で博士号を取った人はほかにいなかったので、日本初の「妖怪博士」かも知れません。

「妖怪を研究しています」と言うと必ず聞かれるのが「妖怪っているの?」ということですが、これは正直「わかりません」としか答えようがありません。私は「妖怪がいるかいないか」を研究しているのではなく、むしろ「いない」ことを前提に、「人間はなぜ、妖怪を必要としてきたのか」を研究しているので、「妖怪がいるかいないか」ということには、あまり関心がありません。それに、妖怪が実際にいたとしたら、それはもはや妖怪ではなく、ただの珍しい動物です。妖怪は、いないからこそ「妖怪」なのです。

「いないものを研究できるのか?」と言う人もいます。これも、私は「妖怪そのもの」を研究しているわけではなく、「妖怪を必要としてきた人間(の文化)」の方を研究しているので、まったく問題はありません。その意味で、生物学者が生物を研究するのとは違うと言えます。

日本には数多くの妖怪が伝承されています。そうした妖怪の伝承を人間はなぜ生み出したのか、人間の文化・社会の中で妖怪はどのような役割を果たしてきたのか、そういったことを研究するのが私の妖怪研究です。

本年度の活動計画

  • 2022年1月8日(土)~2月6日(日)
    「兵庫県立歴史博物館’ひょうご五国’歴史文化キャラバン」(主担当)
    ※尼崎市立歴史博物館にて開催

館内

  • 2022年8月7日(日) 14:00~
    れきはくアカデミー「鬼とはなにか」

館外

  • 「柳田國男の妖怪研究」2022年6月10日 福崎町文化センター
  • 「浮世絵のなかの妖怪たち」2022年7月17日 安城市歴史博物館
  • 「播磨の妖怪たち」2022年10月14日 姫路市立生涯学習大学校
  • 近世及び現代の大衆文化の研究
  • 妖怪の歴史的変遷に関する研究
  • 兵庫県下の妖怪伝承に関する研究
  • 大正期の子ども文化に関する研究

これまでの活動・研究

  • 2022年1月8日(土)~2月6日(日)
    「兵庫県立歴史博物館’ひょうご五国’歴史文化キャラバン」(主担当)
    ※尼崎市立歴史博物館にて開催
  • 2020年6月23日(火)~8月16日(日)
    特別展「驚異と怪異―モンスターたちは告げる―」
  • 2018年7月14日(土)~9月9日(日)
    特別展「ふしぎジオラマミュージアム ―兵庫県立歴史博物館×海洋堂フィギュアミュージアム黒壁―」

館内

  • 2021年8月8日(日)
     れきはくアカデミー「怪異から妖怪へ」
  • 2019年8月4日(日)
    れきはくアカデミー「妖怪になった動物たち」
  • 2018年8月26日(日)
    れきはくアカデミー「鬼魅(きみ)の名は-近世前期における妖怪の名づけ-」
  • 2017年7月30日(日)
    れきはくアカデミー「城と妖怪」

館外

  • 「鬼魅の名は―江戸時代の妖怪と俳諧―」2021年11月6日 姫路文学館
  • 「妖怪とはなにか―歴史的視点から考える―」2021年4月16日 播磨政経懇話会4月例会
  • 「せなけいこ・妖怪画の系譜」2019年10月19日 刈谷市美術館
  • 「播磨の妖怪伝承」2019年7月24日 太子町立文化会館
  • 「浮世絵のなかの妖怪たち」2019年5月19日 新潟県立歴史博物館
  • 「妖怪の造形」2019年3月23日 徳島市立徳島城博物館
  • 「妖怪になった動物たち」2018年12月15日 福岡市埋蔵文化財センター
  • 「『憑きもの』研究から『妖怪』研究へ」2018年8月4日 神戸大学(現代民俗学会第42回研究会)
  • 「TOKYO妖怪ナイト」2018年7月21日 東京カルチャーカルチャー
  • 「関東大震災とキャラクター漫画」2018年2月3日 メキシコ学院大学(メキシコシティ)
  • 「妖怪と立体造形」2017年12月9日 京都外国語大学(比較日本文化研究会第22回研究大会)
  • 「豊中市のまつり―獅子と台額-」2017年11月5日 吹田市立博物館
  • 「兵庫の妖怪」2017年10月14日 姫路市立城の西公民館
  • 「妖怪の造形」2017年10月2日 京都造形芸術大学
  • 「江戸の妖怪文化と博物学」2017年9月13日 カ・フォスカリ大学(ヴェネツィア)
  • 「TOKYO妖怪ナイト」2017年8月23日 東京カルチャーカルチャー

2021年

  • 「入江コレクションの子ども雑誌(大正期)」
    (『兵庫県立歴史博物館紀要 塵界』第33号、兵庫県立歴史博物館)
  • 「妖怪:虚構を楽しむ精神が生んだジャパニーズ・モンスター」
    (web配信記事、ニッポンドットコム)
  • 『図説 日本妖怪史』
    (河出書房新社)
  • 「五国の民俗」
    (『兵庫県立歴史博物館“ひょうご五国”歴史文化キャラバン ガイドブック』兵庫県立歴史博物館編、兵庫県立歴史博物館)
  • 「疫病を遊ぶ――疱瘡神祭りと玩具」
    (『禍いの大衆文化――天災・疫病・怪異』小松和彦編、KADOKAWA)
  • 「書評 木場貴俊著『怪異をつくる』」
    (『日本民俗学』第306号、日本民俗学会)

2020年

  • 「予言するモンスターたち――アマビエ、人魚、件、そして」
    (『KADOKAWA文芸webマガジン カドブン』、KADOKAWA)
  • ‘Yokai and Toys: From the Edo Period to Pokemon’ in Yokai: Ghosts, Demons, & Monsters of Japan, Felicia Katz-Harris (ed.) Museum of New Mexico Press. January 2020.
  • 『特別展「驚異と怪異―モンスターたちは告げる―」ガイドブック』 
    (兵庫県立歴史博物館)
  • 「SNSで話題沸騰!古の伝承から再発見 妖怪アマビエとは?」
    (『美術の窓』№441 生活の友社)
  • 「鬼魅の名は―近世前期における妖怪の名づけ―」
    (『日本民俗学』第302号 日本民俗学会)
  • 「モンスターたちは告げる」
    (県立歴史博物館ホームページ 歴史ステーション 学芸員コラム)
  • 「第3章 木版印刷と『二次創作』の時代」
    (『日本大衆文化史』日文研大衆文化研究プロジェクト編著 KADOKAWA)
  • 「アマビエは誰のものか?」
    (『DESIGN PROTECT』№127 一般社団法人日本デザイン保護協会) 
  • 「もったいない語辞典 狐の嫁入り」
    (『読売新聞夕刊』令和2年10月16日)
  • 「妖怪研究の四半世紀」
    (『比較日本文化研究』第20号 比較日本文化研究会)
  • 「突然の『アマビエ』ブーム」
    (『兵庫県立歴史博物館友の会だより』第146号 兵庫県立歴史博物館友の会事務局)

2019年

  • 「『妖怪ウォッチ』のせいなのか?―妖怪研究の新たな画期―
    (『日本民俗学』第300号、日本民俗学会)
  • 「『好きな妖怪は特にありません』――妖怪博士の告白」
    (『民俗学読本 フィールドへのいざない』、共著 髙岡弘幸他編 晃洋書房)
  • 「妖怪としての動物」
    (『この世のキワ 〈自然〉の内と外』、共著 山中由里子・山田仁史編 勉誠出版)
  • 「小泉八雲、お化け屋敷をみる」
    (『季刊民族学』第170号、千里文化財団)  

2018年

  • 「書評 マイケル・ディラン・フォスター著『日本妖怪考』」
    (『日本民俗学』第296号)
  • 「化物――江戸時代のキャラクター文化」
    (『動態としての「日本」大衆文化 キャラクターと世界』、国際日本文化研究センタープロジェクト推進室)
  • 「酒と妖怪」
    (『特別展「ほろよい・ひょうご―酒と人の文化史―」』、兵庫県立歴史博物館)
  • 「妖怪としての人形」
    (『文化を映す鏡を磨く 異人・妖怪・フィールドワーク』、橘弘文・手塚恵子編 せりか書房)
  • 『特別展 ふしぎジオラマミュージアム―兵庫県立歴史博物館×海洋堂フィギュアミュージアム黑壁― ガイドブック』
    (兵庫県立歴史博物館)
  • 「想像界の生物相 創造界の化物僧」
    (『月刊みんぱく』第42巻第6号、国立民族学博物館)

2017年

  • 『47都道府県・妖怪伝承百科』
    (共著 丸善出版)
  • 「柳田國男の妖怪研究 『共同幻覚』を中心に」
    (『進化する妖怪文化研究』、小松和彦編、せりか書房)

2016年

  • 『日本生活史辞典』
    (共著 木村茂光他編 吉川弘文館)
  • 『立体妖怪図鑑 モノノケハイ』
    (角川書店)
  • 「伝承から表象へ――現代妖怪イメージの起源」
    (『ユリイカ』7月号、青土社)

2015年

  • 「妖怪のせいなのね―『妖怪ウォッチ』のアルケオロジー」
    (『子どもの文化』第47巻8号)
  • 『特別展図録 <美似>the NIPPON―海洋堂のミニチュアコレクション―』
    (兵庫県立歴史博物館)
  • 「江戸の三大改革と妖怪文化」
    (『怪異・妖怪文化の伝統と創造――ウチとソトの視点から 国際研究集会報告書 第45集』、国際日本文化研究センター)
  • 「狸と妖怪」
    (『ジブリの教科書8 平成狸合戦ぽんぽこ』、文藝春秋)

2014年

  • 「〈霊感〉再考」
    (『魅せる!超フォークロア 近藤雅樹ワールドの探検』、近藤雅樹追悼企画実行委員会)
  • 「科学と妖怪手品」
    (『怪』vol.42、角川書店)
  • 「江戸の三大改革と妖怪文化」
    (『HUMAN』vol.6)
  • 『こどもの科学 ガイドブック』
    (兵庫県立歴史博物館)
  • 「江戸の妖怪文化」
    (『江戸妖怪大図鑑』、太田記念美術館)
  • 「河童イメージの変遷」
    (『河童とはなにか』、常光徹+国立歴史民俗博物館編、岩田書院)
  • 「解説 『妖怪』を作った妖怪」
    (『水木しげる漫画大全集082 妖怪変化シリーズ 全』、水木しげる著、講談社)

2013年

  • 「江戸時代のお化け屋敷」
    (『怪』第40号、角川書店)
  • 「解説」
    (『豆腐小僧双六道中おやすみ』、京極夏彦著、角川書店)
  • 『日本怪異妖怪大事典』
    (共著 東京堂出版)
  • 『博物館はおばけやしき―Hounted Museum― ガイドブック』
    (兵庫県立歴史博物館)
  • 『江戸の妖怪革命』
    (角川学芸出版)
  • 「『妖怪名彙』のコナキジジ」
    (『怪』第38号、角川書店)

2012年

  • 「柳田国男と『超能力』」
    (『怪』第37号、角川書店)
  • 「妖怪/フィギュア論」
    (『比較日本文化研究』第15号、比較日本文化研究会)
  • 「『妖怪名彙』と心霊研究」
    (『怪』第36号、角川書店)
  • 『収蔵資料目録13 入江コレクション3 組上絵』
    (兵庫県立歴史博物館)
  • 「柳田国男と妖怪・怪談研究」
    (『日本民俗学』第270号、日本民俗学会)

2011年

  • 「民俗学で読み解く諸星大二郎」
    (『文藝別冊 諸星大二郎』、河出書房新社)
  • 『妖怪学の基礎知識』
    (共著、小松和彦編、角川学芸出版)

2010年

  • 「郷土玩具と妖怪――妖怪文化の『伝統の創造』」
    (『妖怪文化の伝統と創造』、小松和彦編、せりか書房)
  • 「フィギュアの誕生――『ひとがた』への畏れと愛」
    (『フィギュアの系譜展ガイドブック』、京都国際マンガミュージアム・兵庫県立歴史博物館)
  • 「化物屋敷絵巻」
    (『別冊太陽 日本のこころ170 妖怪絵巻』、平凡社)

2009年

  • 「解説」
    (『学校の怪談 百円のビデオ』、常光徹著、講談社)
  • 『百鬼夜行の世界』
    (共著、大学共同利用期間法人人間文化研究機構)
  • 『図説 妖怪画の系譜』
    (共著、河出書房新社)

2008年

  • 「解説―無鬼論者の有鬼論―」
    (『混沌王 人工憑霊蠱猫』、化野燐著、講談社)
  • 『収蔵資料目録12 入江コレクション2 光学玩具』
    (兵庫県立歴史博物館)
  • 「ザシキワラシのポストモダン―ある妖怪キャラクターの『神話解体』」
    (『小松和彦先生還暦記念論文集 日本文化の人類学/異文化の民俗学』、共著、法蔵館)

2007年

  • 『NHK知るを楽しむ 歴史に好奇心 江戸のなんでも見てやろう』(共著、NHK出版)

2006年

  • 「妖怪研究の現在」
    (『ナイトメア叢書3 妖怪は繁殖する』共著、一柳廣孝・吉田司雄編、青弓社)
  • 「妖怪としての貨幣――金霊をめぐって」
    (『日本人の異界観』、小松和彦編、せりか書房)
  • 「〈霊感〉考――怪異のヴァーチャル・リアリティ化」
    (『国際宗教研究所ニュースレター』第51号、財団法人国際宗教研究所)
  • 『日本人の妖怪観の変遷に関する研究―近世後期の「妖怪娯楽」を中心に―』
    (総合研究大学院大学博士論文)
  • 「〈郷土/玩具〉考――20世紀初頭における〈イノセンス〉の発見」
    (『大阪大学日本学報』第25号、大阪大学大学院文学研究科日本学研究室)

2005年

  • 『江戸の妖怪革命』(河出書房新社)