自己紹介
民俗担当の香川と申します。担当する展示室は「こどもはくぶつかん」、「ひょうごの祭り」、それから「歴史工房」の「昔のくらし」のコーナーです。
主な研究テーマは、「妖怪」と「玩具」です。平成18年に総合研究大学院大学に「妖怪」に関する博士論文を提出し、博士号を取得しました。当時、日本の妖怪研究で博士号を取った人はほかにいなかったので、日本初の「妖怪博士」かも知れません。
「妖怪を研究しています」と言うと必ず聞かれるのが「妖怪っているの?」ということですが、これは正直「わかりません」としか答えようがありません。私は「妖怪がいるかいないか」を研究しているのではなく、むしろ「いない」ことを前提に、「人間はなぜ、妖怪を必要としてきたのか」を研究しているので、「妖怪がいるかいないか」ということには、あまり関心がありません。それに、妖怪が実際にいたとしたら、それはもはや妖怪ではなく、ただの珍しい動物です。妖怪は、いないからこそ「妖怪」なのです。
「いないものを研究できるのか?」と言う人もいます。これも、私は「妖怪そのもの」を研究しているわけではなく、「妖怪を必要としてきた人間(の文化)」の方を研究しているので、まったく問題はありません。その意味で、生物学者が生物を研究するのとは違うと言えます。
日本には数多くの妖怪が伝承されています。そうした妖怪の伝承を人間はなぜ生み出したのか、人間の文化・社会の中で妖怪はどのような役割を果たしてきたのか、そういったことを研究するのが私の妖怪研究です。
本年度の活動計画
- 2024年3月16日(土)~5月12日(日)
開館40周年/兵庫・沖縄友愛提携50周年記念特別展「首里城と琉球王国」(副担当) - 2025年1月11日(土)~3月16日(日)
阪神・淡路大震災30年特別展「阪神・淡路大震災を伝える・知らせる―情報と通信の1990年代―」(副担当)
館内
- 2024年4月28日(日)
れきはくアカデミー「琉球の妖怪(マジムン)」
館外
- 2024年5月9日(木)
帝京大学リカレントカレッジGJSシンポジウム「妖怪×デジタル・サイエンス 不可視のものを可視化する営為」 - 2024年7月4日(木)
高齢者大学千種川学園一般教養講座「播磨の妖怪伝承」 - 2024年7月24日(水)
明石市立魚住コミュニティセンター納涼歴史講座「播磨の妖怪」
- 妖怪の歴史的変遷に関する研究
- 兵庫県下の妖怪伝承に関する研究
- 大正期の子ども文化に関する研究
これまでの活動・研究
- 2024年3月16日(土)~5月12日(日)
開館40周年/兵庫・沖縄友愛提携50周年記念特別展「首里城と琉球王国」(副担当) - 2023年7月15日(土)~9月3日(日)
開館40周年記念&姫路城世界遺産登録30周年記念特別展「海洋堂と博物館ーフィギュア・ジオラマ・日本文化―」(主担当) - 2023年4月8日(土)~6月18日(日)
開館40周年記念特別展「HISTORY OF MUSEUMーれきはくの“これまで”と”これから”ー」(副担当) - 2022年7月16日(土)~8月21日(日)
「兵庫県立歴史博物館’ひょうご五国’歴史文化キャラバン」(副担当)
※洲本市立淡路文化史料館にて開催 - 2022年1月8日(土)~2月6日(日)
「兵庫県立歴史博物館’ひょうご五国’歴史文化キャラバン」(主担当)
※尼崎市立歴史博物館にて開催 - 2020年6月23日(火)~8月16日(日)
特別展「驚異と怪異―モンスターたちは告げる―」 - 2018年7月14日(土)~9月9日(日)
特別展「ふしぎジオラマミュージアム ―兵庫県立歴史博物館×海洋堂フィギュアミュージアム黒壁―」
館内
- 2023年9月23日(土)
大阪歴史科学協議会例会発表「兵庫県立歴史博物館の40年―常設展示の変遷を中心に―」 - 2023年8月20日(日)
れきはくアカデミー「天狗とはなにか」 - 2022年8月7日(日)
れきはくアカデミー「鬼とはなにか」 - 2021年8月8日(日)
れきはくアカデミー「怪異から妖怪へ」 - 2019年8月4日(日)
れきはくアカデミー「妖怪になった動物たち」 - 2018年8月26日(日)
れきはくアカデミー「鬼魅(きみ)の名は-近世前期における妖怪の名づけ-」 - 2017年7月30日(日)
れきはくアカデミー「城と妖怪」
館外
- 「カッパは緑色ではない―『疑うこと』から始まる妖怪研究―」2023年12月18日 兵庫県立北須磨高等学校
- 「おばけ屋敷の歴史と文化」2023年8月5日 新開地アートひろば
- 「妖怪と自然の博物学」2023年7月29日 兵庫県立人と自然の博物館
- 「播磨の妖怪たち」2022年10月14日 姫路市立生涯学習大学校
- 「浮世絵のなかの妖怪たち」2022年7月17日 安城市歴史博物館
- 「柳田國男の妖怪研究」2022年6月10日 福崎町文化センター
- 「鬼魅の名は―江戸時代の妖怪と俳諧―」2021年11月6日 姫路文学館
- 「妖怪とはなにか―歴史的視点から考える―」2021年4月16日 播磨政経懇話会4月例会
- 「せなけいこ・妖怪画の系譜」2019年10月19日 刈谷市美術館
- 「播磨の妖怪伝承」2019年7月24日 太子町立文化会館
- 「浮世絵のなかの妖怪たち」2019年5月19日 新潟県立歴史博物館
- 「妖怪の造形」2019年3月23日 徳島市立徳島城博物館
- 「妖怪になった動物たち」2018年12月15日 福岡市埋蔵文化財センター
- 「『憑きもの』研究から『妖怪』研究へ」2018年8月4日 神戸大学(現代民俗学会第42回研究会)
- 「TOKYO妖怪ナイト」2018年7月21日 東京カルチャーカルチャー
- 「関東大震災とキャラクター漫画」2018年2月3日 メキシコ学院大学(メキシコシティ)
- 「妖怪と立体造形」2017年12月9日 京都外国語大学(比較日本文化研究会第22回研究大会)
- 「豊中市のまつり―獅子と台額-」2017年11月5日 吹田市立博物館
- 「兵庫の妖怪」2017年10月14日 姫路市立城の西公民館
- 「妖怪の造形」2017年10月2日 京都造形芸術大学
- 「江戸の妖怪文化と博物学」2017年9月13日 カ・フォスカリ大学(ヴェネツィア)
2023年
- 「首里城と妖怪」
(『開館40周年/兵庫・沖縄友愛提携50周年記念特別展 首里城と琉球王国』兵庫県立歴史博物館) - 「『付喪神』はいなかった 日本における『器物の怪』の不在について」
(『REKIHAKU』第11号、国立歴史民俗博物館) - 『開館40周年&姫路城世界遺産登録30周年記念特別展 海洋堂と博物館―フィギュア・ジオラマ・日本文化― 展示図録』兵庫県立歴史博物館
- 「百鬼夜行と妖怪たち」
(『Adesso』第23巻第4号、岡三証券)
2022年
- 「【展覧会記録】巡回展「”ひょうご五国”歴史文化キャラバン」」
(『兵庫県立歴史博物館紀要 塵界』第34号、兵庫県立歴史博物館) - 「狐:美女に化けて男をたぶらかす不埒な妖怪」
(web配信記事、ニッポンドットコム) - 「歴博の新たな常設展示について」
(『兵庫県立歴史博物館友の会だより』第155号、兵庫県立歴史博物館友の会事務局) - 「天狗:魔物から神へと昇格した稀有な妖怪」
(web配信記事、ニッポンドットコム) - 「『鬼滅』は可能か?」
(兵庫県立歴史博物館ホームページ 学芸員コラム) - 「妖怪とはなにか」
「柳田國男の妖怪研究」
(『BANCUL』124号、公益財団法人姫路市文化国際交流財団) - 「河童:水の恐怖を体現したおぞましい妖怪」
(web配信記事、ニッポンドットコム)
2021年
- 「入江コレクションの子ども雑誌(大正期)」
(『兵庫県立歴史博物館紀要 塵界』第33号、兵庫県立歴史博物館) - 「妖怪:虚構を楽しむ精神が生んだジャパニーズ・モンスター」
(web配信記事、ニッポンドットコム) - 『図説 日本妖怪史』
(河出書房新社) - 「五国の民俗」
(『兵庫県立歴史博物館“ひょうご五国”歴史文化キャラバン ガイドブック』兵庫県立歴史博物館編、兵庫県立歴史博物館) - 「疫病を遊ぶ――疱瘡神祭りと玩具」
(『禍いの大衆文化――天災・疫病・怪異』小松和彦編、KADOKAWA) - 「書評 木場貴俊著『怪異をつくる』」
(『日本民俗学』第306号、日本民俗学会)
2020年
- 「予言するモンスターたち――アマビエ、人魚、件、そして」
(『KADOKAWA文芸webマガジン カドブン』、KADOKAWA) - ‘Yokai and Toys: From the Edo Period to Pokemon’ in Yokai: Ghosts, Demons, & Monsters of Japan, Felicia Katz-Harris (ed.) Museum of New Mexico Press. January 2020.
- 『特別展「驚異と怪異―モンスターたちは告げる―」ガイドブック』
(兵庫県立歴史博物館) - 「SNSで話題沸騰!古の伝承から再発見 妖怪アマビエとは?」
(『美術の窓』№441 生活の友社) - 「鬼魅の名は―近世前期における妖怪の名づけ―」
(『日本民俗学』第302号 日本民俗学会) - 「モンスターたちは告げる」
(県立歴史博物館ホームページ 歴史ステーション 学芸員コラム) - 「第3章 木版印刷と『二次創作』の時代」
(『日本大衆文化史』日文研大衆文化研究プロジェクト編著 KADOKAWA) - 「アマビエは誰のものか?」
(『DESIGN PROTECT』№127 一般社団法人日本デザイン保護協会) - 「もったいない語辞典 狐の嫁入り」
(『読売新聞夕刊』令和2年10月16日) - 「妖怪研究の四半世紀」
(『比較日本文化研究』第20号 比較日本文化研究会) - 「突然の『アマビエ』ブーム」
(『兵庫県立歴史博物館友の会だより』第146号 兵庫県立歴史博物館友の会事務局)
2019年
- 「『妖怪ウォッチ』のせいなのか?―妖怪研究の新たな画期―
(『日本民俗学』第300号、日本民俗学会) - 「『好きな妖怪は特にありません』――妖怪博士の告白」
(『民俗学読本 フィールドへのいざない』、共著 髙岡弘幸他編 晃洋書房) - 「妖怪としての動物」
(『この世のキワ 〈自然〉の内と外』、共著 山中由里子・山田仁史編 勉誠出版) - 「小泉八雲、お化け屋敷をみる」
(『季刊民族学』第170号、千里文化財団)
2018年
- 「書評 マイケル・ディラン・フォスター著『日本妖怪考』」
(『日本民俗学』第296号) - 「化物――江戸時代のキャラクター文化」
(『動態としての「日本」大衆文化 キャラクターと世界』、国際日本文化研究センタープロジェクト推進室) - 「酒と妖怪」
(『特別展「ほろよい・ひょうご―酒と人の文化史―」』、兵庫県立歴史博物館) - 「妖怪としての人形」
(『文化を映す鏡を磨く 異人・妖怪・フィールドワーク』、橘弘文・手塚恵子編 せりか書房) - 『特別展 ふしぎジオラマミュージアム―兵庫県立歴史博物館×海洋堂フィギュアミュージアム黑壁― ガイドブック』
(兵庫県立歴史博物館) - 「想像界の生物相 創造界の化物僧」
(『月刊みんぱく』第42巻第6号、国立民族学博物館)
2017年
- 『47都道府県・妖怪伝承百科』
(共著 丸善出版) - 「柳田國男の妖怪研究 『共同幻覚』を中心に」
(『進化する妖怪文化研究』、小松和彦編、せりか書房)
2016年
- 『日本生活史辞典』
(共著 木村茂光他編 吉川弘文館) - 『立体妖怪図鑑 モノノケハイ』
(角川書店) - 「伝承から表象へ――現代妖怪イメージの起源」
(『ユリイカ』7月号、青土社)
2015年
- 「妖怪のせいなのね―『妖怪ウォッチ』のアルケオロジー」
(『子どもの文化』第47巻8号) - 『特別展図録 <美似>the NIPPON―海洋堂のミニチュアコレクション―』
(兵庫県立歴史博物館) - 「江戸の三大改革と妖怪文化」
(『怪異・妖怪文化の伝統と創造――ウチとソトの視点から 国際研究集会報告書 第45集』、国際日本文化研究センター) - 「狸と妖怪」
(『ジブリの教科書8 平成狸合戦ぽんぽこ』、文藝春秋)
2014年
- 「〈霊感〉再考」
(『魅せる!超フォークロア 近藤雅樹ワールドの探検』、近藤雅樹追悼企画実行委員会) - 「科学と妖怪手品」
(『怪』vol.42、角川書店) - 「江戸の三大改革と妖怪文化」
(『HUMAN』vol.6) - 『こどもの科学 ガイドブック』
(兵庫県立歴史博物館) - 「江戸の妖怪文化」
(『江戸妖怪大図鑑』、太田記念美術館) - 「河童イメージの変遷」
(『河童とはなにか』、常光徹+国立歴史民俗博物館編、岩田書院) - 「解説 『妖怪』を作った妖怪」
(『水木しげる漫画大全集082 妖怪変化シリーズ 全』、水木しげる著、講談社)
2013年
- 「江戸時代のお化け屋敷」
(『怪』第40号、角川書店) - 「解説」
(『豆腐小僧双六道中おやすみ』、京極夏彦著、角川書店) - 『日本怪異妖怪大事典』
(共著 東京堂出版) - 『博物館はおばけやしき―Hounted Museum― ガイドブック』
(兵庫県立歴史博物館) - 『江戸の妖怪革命』
(角川学芸出版) - 「『妖怪名彙』のコナキジジ」
(『怪』第38号、角川書店)
2012年
- 「柳田国男と『超能力』」
(『怪』第37号、角川書店) - 「妖怪/フィギュア論」
(『比較日本文化研究』第15号、比較日本文化研究会) - 「『妖怪名彙』と心霊研究」
(『怪』第36号、角川書店) - 『収蔵資料目録13 入江コレクション3 組上絵』
(兵庫県立歴史博物館) - 「柳田国男と妖怪・怪談研究」
(『日本民俗学』第270号、日本民俗学会)
2011年
- 「民俗学で読み解く諸星大二郎」
(『文藝別冊 諸星大二郎』、河出書房新社) - 『妖怪学の基礎知識』
(共著、小松和彦編、角川学芸出版)
2010年
- 「郷土玩具と妖怪――妖怪文化の『伝統の創造』」
(『妖怪文化の伝統と創造』、小松和彦編、せりか書房) - 「フィギュアの誕生――『ひとがた』への畏れと愛」
(『フィギュアの系譜展ガイドブック』、京都国際マンガミュージアム・兵庫県立歴史博物館) - 「化物屋敷絵巻」
(『別冊太陽 日本のこころ170 妖怪絵巻』、平凡社)
2009年
- 「解説」
(『学校の怪談 百円のビデオ』、常光徹著、講談社) - 『百鬼夜行の世界』
(共著、大学共同利用期間法人人間文化研究機構) - 『図説 妖怪画の系譜』
(共著、河出書房新社)
2008年
- 「解説―無鬼論者の有鬼論―」
(『混沌王 人工憑霊蠱猫』、化野燐著、講談社) - 『収蔵資料目録12 入江コレクション2 光学玩具』
(兵庫県立歴史博物館) - 「ザシキワラシのポストモダン―ある妖怪キャラクターの『神話解体』」
(『小松和彦先生還暦記念論文集 日本文化の人類学/異文化の民俗学』、共著、法蔵館)
2007年
- 『NHK知るを楽しむ 歴史に好奇心 江戸のなんでも見てやろう』(共著、NHK出版)
2006年
- 「妖怪研究の現在」
(『ナイトメア叢書3 妖怪は繁殖する』共著、一柳廣孝・吉田司雄編、青弓社) - 「妖怪としての貨幣――金霊をめぐって」
(『日本人の異界観』、小松和彦編、せりか書房) - 「〈霊感〉考――怪異のヴァーチャル・リアリティ化」
(『国際宗教研究所ニュースレター』第51号、財団法人国際宗教研究所) - 『日本人の妖怪観の変遷に関する研究―近世後期の「妖怪娯楽」を中心に―』
(総合研究大学院大学博士論文) - 「〈郷土/玩具〉考――20世紀初頭における〈イノセンス〉の発見」
(『大阪大学日本学報』第25号、大阪大学大学院文学研究科日本学研究室)
2005年
- 『江戸の妖怪革命』(河出書房新社)