洲本市立淡路文化史料館で4会場目となる巡回展「“ひょうご五国”歴史文化キャラバン」、令和4年7月16日(土)から開幕します。

平城京から出土した五国の木簡(複製)兵庫県立歴史博物館蔵
原品 奈良時代(8世紀)奈良文化財研究所蔵  

 現在の兵庫県域は、美作と備前の一部も含まれますが、その大部分は播磨国・但馬国・淡路国のほぼ全域と、摂津国の西部、丹波国南西部により構成されています。本展は、その五国が成立した古代の木簡(複製)から、昭和8年(1933)に第1回が開催された神戸の「みなとの祭」の戦前のポスターまで、兵庫県各地に関わる資料を展示し、豊かな風土を有するひょうご五国の歴史と文化を様々な角度から紹介するものです 。

 洲本市立淡路文化史料館では、淡路に関する歴史展示が充実していること、淡路文化史料館から橋を渡らないと見ることのできない他地域の歴史資料を展示してほしいとの希望をいただいたことから、淡路会場での展示は淡路の歴史だけでなく兵庫県域の歴史にも重点を置いた内容となる予定です。

  淡路会場限定の展示コーナーは「五国の戦乱と支配」と「淡路ゆかりの資料」です。「五国の戦乱と支配」では、源氏が平氏を破った一ノ谷の戦い、摂津・丹波を含む8ヶ国の守護であった細川氏と但馬・播磨など9ヶ国を守護領国としていた山名氏などが争った応仁の乱、織田信長の命による豊臣(羽柴)秀吉の播磨・淡路侵攻、といった歴史的な出来事を、源平合戦図屏風や肖像画の展示をとおして取り上げます。

源平合戦図屏風 江戸時代 兵庫県立歴史博物館蔵

  「淡路ゆかりの資料」では、西国方面から畿内への海の玄関口という交通の要所であった淡路島の地理的な重要性を示す資料や、国生み神話をはじめ、さまざまな伝説や歴史の舞台となってきた淡路の名勝旧跡などを紹介する名所図会など、淡路の近世資料を紹介します。

淡路名所図会 江戸時代 兵庫県立歴史博物館蔵

  また、淡路会場のみの出品として、淡路の民家を描いた風景画や昭和初期の淡路の絵はがきパネル、王地山焼といった資料があります。民家の風景画は、姫路市の美術教師であった内海敏夫氏が昭和53年(1978)から県内各地の昔ながらの建物や風景を描いたものです。出品作品は当館所蔵の約170点の中から選んだ、1990年代に淡路各地を描いた9点です。

  名所の絵はがきは、姫路市の歴史・文化研究に生涯をかけた高橋秀吉(たかはし・ひできち)氏が集めたもので、当館には絵はがきだけでも約11万点所蔵されています。今回はその中から淡路のものを20枚選んでパネルとして展示します。

王地山焼 交趾釉四神文菓子器 江戸時代(19世紀前半) 兵庫県立歴史博物館蔵

  王地山焼は丹波の篠山藩で製作された江戸時代後期のやきものです。他会場では、丹波の焼き物としては丹波焼の壺を出品しますが、淡路会場では緑の鉛釉が鮮やかな王地山焼の菓子器を展示します。

これらの展示以外には、五国をそれぞれ代表する仏像5躯を一堂に集めたコーナーは圧巻と言えるでしょう。展示スペースの関係上、5躯すべてを展示することが難しい巡回会場もあったのですが、淡路会場では5躯ともご覧いただけます。

淡路を代表する仏像で、その威容で見る者を圧倒する成相寺の薬師如来立像(複製)のほか、あいたた観音と呼ばれて親しまれる播磨の鶴林寺の聖観音立像(複製)や多数の木彫仏で知られる丹波の達身寺の十一面観音像(複製)など、普段、近づいてご覧いただけない仏像を間近で鑑賞できる機会です。

  今年の夏は猛暑と予想されています。暑い中のお出かけは億劫ですが、涼みがてら洲本市立淡路文化史料館まで足をお運びいただき、「“ひょうご五国”歴史文化キャラバン」をお楽しみいただけましたら幸いです。

会場  洲本市立淡路文化史料館(洲本市山手1丁目1-27)

会期 令和4年7月16日(土)~8月21日(日)

休館日 月曜日(ただし、7月18日(月・振替休日)開館、7月19日(火)休館)