2021年秋から休館して行っていた施設・設備の改修工事が終わり、兵庫県立歴史博物館は2023年4月8日(土)に再オープンしました。

  このリニューアルオープンにあわせて、デジタル技術を活用したサービスをいくつか開始しました。

  その1つが、「ポケット学芸員」。ミュージアム展示ガイドアプリで、iOS10.0以上のiPhoneとAndroid5.0以上のAndroidスマートフォンで動作します。当館だけでなく、日本全国160館ほどの博物館・美術館の展示ガイドを楽しむことができるアプリです。

ポケット学芸員起動画面

 今まで当館には常設展示の音声ガイドがなかったのですが、利用していた資料データベースサービスの機能の1つとして、このアプリが提供されていたため、これを採用して音声ガイドを始めることとなりました。

当館のプロフィール画面

 ダウンロードは無料ですが、通信料金がかかります。ただ、当館での「Hyogo Free Wi-Fi」の利用エリアが広がり展示室でもお使いいただけるようになりましたので、Wi-Fiに接続すれば通信料をかけずにお楽しみいただけます。

  現時点での当館の日本語音声ガイド数は78件、常設展示「ひょうご五国のあゆみ」「日本の城大百科/姫路城大解剖」「美術とくらし」の展示テーマや資料を解説しています。このすべてを公開しているわけでなく、現在の展示内容に合わせて58件を公開しています。

音声ガイド案内パネルと展示の様子(常設展示「ひょうご五国のあゆみ」展示室)
赤い四角で囲んであるのが音声ガイドの番号パネル

 実は、これらの日本語音声ガイド78件のうち39件は、兵庫県立姫路東高等学校(以下、「姫路東高校」という)の放送部のナレーションなのです。現在はそのうち36件を公開しています。

  また、英語の音声ガイドは12件あり、こちらはすべて姫路東高校ESS部の生徒にお願いしました。 現在、12件すべてをお楽しみいただけます。

  姫路東高校は道路と公園の敷地をはさんで当館の東隣に位置しています。近いこともあって、姫路東高校と当館は交流を続けてきました。長らくお楽しみいただいている当館のロビーコンサートの第1回目は姫路東高校のギター・マンドリン部の演奏でしたし、今年は、新しい試みとして同校書道部・ひょうご歴史研究室・当館のコラボ企画「播磨国風土記を書にする」という生徒による書の作品展を当館の城見ラウンジで開催しています(2023/5/28まで)。

姫路東高校正門

 このようなご縁がありましたので、今回、姫路東高校に音声ガイドのナレーションをお願いしたところ、こころよくご承諾いただいたのです。

  収録は、2023年の2月から3月にかけて3回行いました。1回目と2回目は放送部所属の2年生ふたりによる日本語のナレーションを録音しました。1人あたり約20件の解説を2回に分けて読んでいただきました。2人とも素敵な声をお持ちで、聴きやすく心地よいナレーションとなりました。

常設展示「ひょうご五国のあゆみ」古代の展示テーマ解説画面

  3回目の収録は、ESS部による12件の英語ガイドを録音しました。以前、ロンドンの大学からのインターンシップ生に作成してもらった当館の城郭展示についての英文解説を、音声ガイド用にブラッシュアップしていただき、7名の部員にそれぞれ1件から2件の解説を読んでいただきました。英語の発音がきれいで感心することしきりでした。

ポケット学芸員英文解説画面

  このように、姫路東高校のご協力を得て音声ガイドを開始することが出来ました。姫路東高校の先生と生徒のみなさまには、深く感謝申しあげます。

  ちなみに、展示資料の解説は担当学芸員がAI音声の読み上げソフトで音声データを作製しています。まだまだ展示資料の音声ガイドは少ないため、これから充実させていく予定です。

  発展途上の当館の音声ガイドですが、ご来館のみなさまにはぜひともお試しいただけましたら幸いです。