講演1 坂江渉研究コーディネーター

「『播磨国風土記』の魅力と神話の読み解き方」

講演2 古市晃客員研究員

「『播磨国風土記』の渡来人伝承と倭王権」

講演3 高橋明裕客員研究員

「東播・西摂の国境地帯と古代の交通 ~ナビツマ伝承と印南野~」

司会

村上泰樹研究員(兵庫県立考古博物館)

ひょうご歴史研究室の1年間の研究成果を県民向けに公表する目的で、
3月26日、歴史講演会「『播磨国風土記』研究の新展開」を開催した。
今年度、集中的に調査研究した『播磨国風土記』の分析結果を、3人の
研究者が講演した。

会場風景の写真
▲会場風景
坂江渉研究コーディネーター
▲坂江渉研究コーディネーター

古市晃客員研究員の写真
▲古市晃客員研究員
高橋明裕客員研究員の写真
▲高橋明裕客員研究員
司会の村上泰樹研究員の写真
▲司会の村上泰樹研究員

当日の講演会では、まず坂江渉研究コーディネーターが、風土記に30例近くみえる「伊和大神」の神話に焦点をしぼり、そから読みとれる古代播磨の地域社会のあり方や、ヤマト政権の支配のあり方について解説。

ついで古市晃客員研究員(神戸大学准教授)が、西日本各地からの「渡来人」の移住伝承をもとに、飾磨(しかま)地域の「ハブ機能」(交通結節機能)の重要性を指摘。

さらに高橋明裕客員研究員(立命館大学非常勤講師)が、景行(けいこう)天皇の妻問(つまど)い伝承をもとに「印南野」のもつ特殊性などを紹介した。

いずれの講師も、古代の他地域との比較研究や、多くの地図や写真資料などを用いて、分かりやすく説明。
会場溢れんばかりの県民、約300人が熱心に聞き入った。

聴講者からは、「神話の存在や渡来人の移住など、播磨国の歴史の奥深さを知ることができた」「一年間の研究成果で得られた知見を、市民と共有できる場として有意義な講演会だった」「バラエティに富んだ講師陣と多彩なテーマで充実していた。欲を言えば、考古学関係者の報告も加えてほしかった」などのほか、「一回だけで終わらず、今後も兵庫県各地の歴史を分かりやすく伝えていく取り組みをしてほしい」などの感想も寄せられた。

当日の講演内容も含め、『播磨国風土記』の最新の研究成果については、ひょうご歴史研究室編『ひょうご歴史研究室紀要』創刊号(3月25日刊行)の諸論文に載せられている。同紀要については、県内各地の公共図書館にて閲覧することができる。

(文責・坂江渉)