平成27年度4月に開室したひょうご歴史研究室は、歴史博物館長が室長を兼ねています。あらたにリサーチコーディネーターと事務スタッフがそれぞれ1名、配置され、足りないところは歴史博物館スタッフがサポートするという、暗黙の了解で進み始めました。
10月に入り、播磨国風土記の調査研究にもとづき館蔵の風土記レプリカを展示するという成果が生まれたのは、開設以降の博物館・研究室双方の思いやりと努力の賜だと感謝しています。

研究室の発足は、神戸新聞・読売新聞などに取り上げられるなど、話題となっています。播磨国風土記研究班、山城・赤松研究班、たたら・製鉄研究班という三つのテーマが、いずれも播磨の歴史を広域的に物語る重要テーマであるということに一つの要因があると思いますが、同時に、歴史博物館と考古博物館が中心となり、そこに神戸大学・大手前大学・播磨学研究所などの研究員、さらに県下市町の文化財・社会教育担当者が加わるというネットワークの広がりにも、大きな要因があると思います。

実際、この半年の間に開催された研究会には研究員が毎回、全員が出席し、議論するという熱気があります。播磨国風土記には風土記の、また山城・赤松研究班やたたら・製鉄研究班にも、それぞれ固有の課題があり、その都度、その課題にふさわしい成果を、短期に発信するのは容易ではありませんが、チームワークで乗り切りたいと思います。

博物館が姫路城の傍で展示を通じて発信し、国内外から観覧者を迎えるとすれば、研究室は県内各地に出かけることで地元の人々と一緒になって、兵庫県旧五カ国の歴史遺産を調査し、保存し、活用する―というウィンウィンの関係が構築できれば嬉しいなと思う、今日この頃です。

平成27年10月