ひょうご歴史研究室が、県立歴史博物館の中に併設されて4年目を迎えましたが、時同じくして博物館内の歴史工房では、「兵庫県政150年展」が開催されています。

明治維新とともに旧摂津国のごく一部に立県された兵庫県が、摂津・播磨・丹波・但馬・淡路の五国を擁する大兵庫県として成立し、今日まで、150年の歳月が重ねられたという事実には重みを感じます。

それは、一つの藩と一つの県が連続している熊本県や鹿児島県・山口県などと比べたときに、一層、味わいが深くなります。立県されることで、それ以前の地域毎の違いが、一つの政治・社会・文化空間として熟成していく150年と言い換えることもできるでしょう。

それがまた完成されたモノでなく、現在進行形であることが、150周年記念に合わせて発表された「兵庫2030年の展望」が語る ―五国を活かし日本を先導 世界につなぐ― という標語に示されています。その時、立県以前の五国の歴史が、十分に解明されていなければなりません。兵庫県政150年を前にして「ひょうご歴史研究室」が置かれた意味と役割には大きなものがあります。

ひょうご歴史研究室は、先史・古代、中世、近世、近代と言った時代区分を中心に置いていません。播磨風土記、赤松・山城、たたら・製鉄と、五国の歴史・文化にアプローチできる具体的なテーマが中心に置かれています。それは地域歴史遺産を通じて、ひょうごの歴史を解明しようとする研究室の初心でもあります。今後、第4、第5のテーマが付加されることも予想されます。

もちろん、県内の各自治体との連携なしには進展を期待できませんが、この3年間の取り組みは、幾つかの自治体との間で目に見える形で実績を積み上げてきたと自負しています。「ひょうご歴史研究室」の活動に、ご期待いただきたいと思います。

平成30年8月