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ひょうご歴史文化フォーラム3年ぶりの開催~県民局とひょうご歴史研究室の連携~

 長引くコロナ感染に医療現場をはじめ、ご苦労されているところが多いようですが、博物館も同様、悪戦苦闘が続いています。そんななか感染状況の落ち着いた昨年10月、ひょうご歴史文化フォーラムが3年ぶりに開催されました。

 西播磨文化会館を会場に「前期赤松氏の実像~城郭と寺院から~」というタイトルで開催され、200名収容の会場に157名の参加がありましたが、こういう機会を待っていた!という県民の声が聞こえてきたような盛り上がりでした。

 ひょうご歴史研究室歴史研究推進員の大村拓生氏と共同研究員の山上雅弘氏による、前期(円心則祐の挙兵から満祐の敗死までの約110年)赤松氏ゆかりの城郭と禅宗寺院に関する基調講演を受け、その後、1時間余に及ぶパネルディスカッションが行われました。

 パネリストは研究室赤松・山城班を含めメンバー5人、司会コーディネータ2名も研究班メンバーということで、班の総力を挙げての討論となり、充実したフォーラムとなりました。とくに近江六角氏を研究する近畿大学准教授新谷和之氏をゲストとして招いたことで、目標の1:赤松研究の意義を説き明かす、ということで成果があったと思います。

 いまひとつの目標の2:明らかになった事実を分かりやすく伝える、についても、資料には講演の概要と並んで年表、系図、縄張り図などの関係地図、赤松居館跡遺構(上郡町)の図面などが添えられ、大きく前進したのではないかと思います。

 いかに関心の高い人が多いと言っても、最新の学術上の成果を「分かりやすく伝える」というのは容易ではありません。しかし8年間の赤松・山城研究の集大成として位置づけられ、準備を重ねることで、3年ぶりのひょうご歴史文化フォーラムは好評を得て終えることができました。年度末にはひょうご歴史室紀要第8号において、て、研究の集大成の諸論文と、フォーラムの詳細が収録される予定ですので、ご期待下さい。

 フォーラムの冒頭、赤松氏ゆかりの山城に登られた方を尋ねたところ、じつに多くの手があがりました。これには西播磨ツーリズム協議会がスタンプラリーやCGで山城を体験できるホームページを開催しているなど、啓発活動に力を入れていることが大きく寄与しています。協議会の事務局を担う西播磨県民局地域づくり課とひょうご歴史研究室との連携の強化が進んだことで、大きな成果が生まれたと言えるでしょう。

 「地域づくり」を柱とする県民局との連携は、これからのひょうご歴史研究室の方向性にとって一つの指針となっています。

ひょうご歴史研究室室長 藪田貫(兵庫県立歴史博物館館長)

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