館長ブログ
2026年10月16日
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五感を通じた展示-企画展「ふれる×れきはく」開幕-
夏休みに開催した企画展「れきはく/ノスタルジー のりもの図鑑」には、12,832人もの方がいらっしゃり、好評のうちに終了いたしました。普段の展覧会とくらべ、初めてこられた方が多く、とくに小学生や幼稚園・保育園児とご両親の方々の割合が高かったところに特徴がありました。今回来ていただいている子どもたちが、中高生や大人になっても、引き続き来ていただけるような、楽しく歴史を知っていただける企画を、長期的な視点にたって進めていくことが大切だと感じています。
のりもの図鑑に続き、10月3日から「企画展 ふれる×れきはく-ユニバーサルミュージアムへの試み-」がはじまりました。さて皆さん、「ユニバーサルミュージアム」とはなんでしょうか。あまり聞いたことがないという方もおられるのではないでしょうか。
最近「ユニバーサルデザイン」という言葉が少しずつ浸透してきています。この場合は、文化・言語・国籍・年齢・性別・能力等の違いにかかわらず、出来るだけ多くの人々が利用できることを目指した製品や情報を設計(デザイン)していくこと、それを実現するために多様な人々が参加していく過程を大切にすることを意味しています。ミュージアムに置き換えるなら、多様な人々が楽しめる、学べる博物館をめざして、展示や多様な活動をすすめていくことが、「ユニバーサルミュージアム」ということになるかと考えます。
しかしながら、そこには様々な困難があります。展示ひとつをとっても、ほとんどの展示は、観覧者に「見てもらう」ことを前提としていますし、そこで展示される博物館資料も「見てもらう」ことを前提につくられているものがほとんどです。したがって、視覚のみによらない展示をつくっていくことは、視覚を前提としている展示品が中心となる博物館にとっては、難しい課題へのチャレンジということになります。
今回の展示では、聴覚・触覚・嗅覚などの五感を通じた体験型の展示を行うことで、この課題に挑戦しています。日頃、私たちは見るだけでなく、聞いたり、触ったり、匂ったりしながら、生活しています。その意味では、視覚以外に焦点をあてて展示することは、視覚だけによらず、より深く歴史文化を知れるものになったと考えています。
たとえば、忠臣蔵の錦絵の展示からは、兜に薫き込められたお香で個人を識別することが、ストーリーの中で重要な位置を占めています。ここでは兜に象徴される身分と匂いの関係がリアルに分かります。近世社会では、匂いもまた身分関係の一部をなしていること、匂いの歴史的なあり方がうかがえ、大変興味深く感じました。今回、このような観点から本博物館の重要な収蔵品を展示しました。そのひとつに本館所蔵の国指定重要文化財「仏涅槃図」(ぶつねはんず)があります。私自身「さわる」展示も体験し、見るのとはちがった図形の広がりを感じました。
皆様にも五感を通じた展示を、ぜひ体験していただければと思っております。御来館をお待ちしています。




