当館所蔵の鉄道黎明期イギリス製鉄道レール(双頭レール)2点が、産業遺産学会が推薦する産業遺産に認定されました。 産業遺産学会(旧称:産業考古学会)は、産業遺産に基づいて技術文化を実証的に調査・研究する学会として、1977(昭和52)年に設立されました。
今回認定されたレール2点は、いずれも双頭レールという、わが国の鉄道黎明期のみに用いられた特殊なレールです。 特に英国ダーリントン社で1870年に製造されたレールは、明治7年(1874)に開業した大阪-神戸間の鉄道(現在のJR東海道線)で使用されたと考えられ、当館にとっては兵庫県の近代化を示す良好な歴史資料と言えます。
そしてこれらは、鉄道用レールとしての役目を終えた後、かつて大阪市中央区高麗橋に存在した、旧三越大阪店〔大正6年(1917)〕の基礎柱の代用鋼材としても使用されました。同デパート建設時には第1次世界大戦の影響で鋼材の輸入が滞り、このようなレールが再利用されました。
これらのレールには「日本の鉄道黎明期の歴史資料」「近代デパートメント建築の技術史的資料」「近代の関西地区の発展を実証する資料」としての価値が認められ、同学会から産業遺産に認定されることになりました。