本年度3回目の研究会を館内にて開催した。

古市晃客員研究員が、「仲野安雄家関連文書調査について(2)」と題する報告を、また2/2に開催予定の「淡路島の海人と地域間交流」シンポジウムの学術的打合せをおこなった。
古市報告の討論では、まず仲野安雄が加わった研究サークルの参加者名や、仲野と禅僧との関わりなどをめぐるやりとりがおこなわれ、その後、①『古事記』の国生み神話をめぐる現地比定に至る、仲野の考証の実証性をどうみるか、②仲野が地誌作成に至るまで参考にした写本数は全体としてどの程度あるのか、などの質問が出された。
それに対して古市氏は、(1)現代歴史学の手法からみると、あまり実証的でない面を感じる、(2)現段階では不明で今後の課題としたい、などと答えた。
また18世紀前半に作成された地誌の中に「絵地図」を挿れることは稀な事例であり、そのことの意味を考えるべき、仲野が扱った古代史料(古事記・日本書紀・類聚三代格・日本霊異記など)は徳島ではなく、「益秀館」のある洲本で閲覧された可能性があり、今後、そのルートの解明を追求すべきである、との意見が出された。
参加者は11名だった。

(文責・坂江渉)