『播磨国風土記』研究班の今年度第3回目の研究会を、平成30年1月13日(土)、洲本市文化体育館第2会議室でおこなった。

『播磨国風土記』研究班は、昨年来、淡路島日本遺産委員会、淡路島3市の文化財担当職員、地元研究者などの協力を得て、淡路島の地域史研究に着手している。
この研究会は、前回の研究会(8/23)に続き、そうした研究成果の発表の場として、また相互の情報共有を深める場として、『播磨国風土記』研究班と淡路島日本遺産委員会による第2回合同企画として実施された。
とくに今回は、淡路地方史研究会会長の武田信一氏をお呼びして報告をお願いし、「国生み」神話と淡路の海人をめぐる地元研究成果を吸収する場ともした。参加者は18名だった(風土記研究班8名、日本遺産委員会関係者10名)。

▼当日の進行
 藪田貫室長の挨拶の後、以下の順で、報告と討議をおこなった。
(1)武田信一氏(淡路地方史研究会会長)「国生み神話と淡路島の海人」
(2)古市晃氏(ひょうご歴史研究室客員研究員/神戸大准教授)
 「近世淡路の地誌にみる古代認識 -『淡路五草』を素材にして」
(3)2報告へのコメント(藪田室長)と討議

▼研究報告をめぐる討議内容
(1)武田信一報告
報告は、国生み神話と淡路の海人について、概括的に述べたものであった。
討議では、「オノコロ島」の所在地、但馬のアメノヒボコ伝承、倭王権と淡路との関連性、「島造り」神話の原型を、外国(中国)に求める報告者の見解の有効性なとが議論された。

(2)古市晃報告
報告は、『淡路五草』のうち、1730年成立の『淡路常磐草』にみえる古代認識にスポットをあてた意欲的な内容であった。
近世史家としての藪田館長のコメントにより、この史料が、官撰ではなく私撰(著者の仲野安男は淡路の大庄屋)であり、かつ版本ではなく写本として流布した点などを、近世地誌研究全体の中で位置づけることの重要性が明らかになった。
『淡路五草』は、現在、淡路島内の歴史施設に所蔵されており、今後、写本における様々な書き込み等を含め、総合的に研究していくことになった。

▼今後について
来年度も引き続き、研究室・日本遺産委員会・考古博物館の3者が連携して研究することが承認された。
1回目の合同研究会を、本年6月16日(土)に開催することが決まった。


(文責・坂江渉)