播磨国風土記研究班の第4回研究会が、館内の会議室で開かれ、2名の研究員の報告内容と、研究班の今後の方向性をめぐる議論をおこなった。

研究会では、まず大平茂共同研究員(三木市立金物資料館館長)が、「兵庫県内の祭祀遺跡・祭祀遺物の研究成果」と題する報告を、また村上泰樹兼務委員(兵庫県立考古博物館社会教育推進専門員)が、「「讚用郡駅家里鉄十連」を考える」というテーマの報告をおこなった。

大平報告の議論では、報告でいう「祓え」は、祭祀行為なのか呪術行為なのか、というやりとりのほか、出土遺物・遺跡等の研究成果、「播磨国風土記」の記述との関連性を明確にした方が良いのではないか、などの意見が出された。

また村上報告をめぐっては、木簡にみえる「鉄十連」が、現在の重量換算で約200kgだとすると、大官大寺(大安寺)への貢納に際しては、どのような運搬手段が考えられるのか、「駅家里」=中川里から千種川による河川交通への配慮、また奈良時代の『大安寺縁起資財帳』の封戸・所領記載など、文献史料とも関連付けた分析も必要ではないかとの意見が出された。

そのほか会議では、風土記研究班の座長役の選定をおこなうとともに、『紀要』創刊号原稿の最終的〆切日の確認、平成28年3月26日(土曜日)に風土記研究班の研究成果発表会として、フォーラム「播磨国風土記研究の新展開」を開催することなどが確認された。出席者は報告者を含めて、合わせて8名だった。

(文責・坂江渉)