11月1日の午前中、前日に引き続き、風土記研究班の第3回研究会が、館内で開かれた(室長、客員研究員、兼務委員など14名参加)。
外部講師として垣内章氏を招き、「岡平保『風土記考』の発見とその歴史的意義」と題する報告を得て、新出資料の風土記写本と註釈書をめぐる研究会をおこなった。

垣内氏は、幕末室津の神主(賀茂神社)、岡平保『風土記考』の新たな発見に至るまでの経緯と、平保の註釈の中身の先駆性について取り上げ、三条西家本の写本以外の、幕末以降、播磨国内で展開した風土記の註釈研究の意義と、それに関する資料を、今後も積極的に調査・収集していくことの重要性を提起した(なお今回の特別陳列『播磨国風土記』の第Ⅱ部コーナーは、垣内氏らによる調査研究の成果にもとづき展示されている)。

これを受け、コメンテーターに招いた佐藤信・東京大学教授が、島根県古代文化センターによる『出雲国風土記』資料の収集や、その公開・活用に向けた事業の展開を参照にして、ひょうご歴史研究室も、『播磨国風土記』の学術研究の一環として、資料収集と活用のためのセンター的役割を担う機関になっていくことが重要ではないかと指摘した。

なお研究会の最後に、次回の研究会を、12月18日(金)の午後、館内で開くこと、また今年度の研究成果の情報発信として、年度末に刊行予定の『紀要』のほか、市民向けのブックレットなどを刊行していく方向性なども確認された。

(文責・坂江渉)