• 第1回研究会(令和元年6月23日(日)午後/館内会議室にて/13名参加)
    新年度の辞令交付をおこない、坂江が四年間の活動実績、今後の推進体制、今年度企画などについて説明。
    その後、岩城卓二客員研究員が、「石見幕府領におけるたたら製鉄と地域社会」と題する学術報告した。
    岩城氏は、江戸時代の石見国のたたら製鉄の操業が、周辺の村々の「稼ぎ」を維持していた面がある一方、地域住民の生活に与えた「マイナス面」もあったことを報告した。
    とくに鉄滓(金クソ)を河川に流すことによる被害、および里山が荒れることによる「猪鹿」被害などについて、史料にもとづき丁寧に紹介した。
    討論では、播磨の宍粟郡のたたら場では、河川における「金クソ」被害の事例は聞かないが、今後、里山や環境面にも配慮して分析する必要がある、石見のたたら場は村落に近いところで操業しているが、播磨では比較的隔絶したところで操業されている点が異なるように思われる、近世のたたら製鉄は「契約」がモノをいう世界という感想をもった、などの意見が出された。
    今後の考古学分野の研究の方向性に関して、宍粟市の「安積遺跡」の研究成果を深めていくこと、また島根県古代文化センターとの連携事業に関して、島根県古代出雲歴史博物館の特別展を見学し、その際、双方の情報交換を進めることが決められた。
  • たたら製鉄研究班第2回研究会(令和元年10月19日(土)午前/館内体験ルームにて/12名参加)
    坂江が「令和元年度の事業の中間報告と今後の計画」について説明した後、村上泰樹共同研究員が、「古代末の製鉄遺跡、宍粟市安積山遺跡の研究に向けて」と題する学術報告した。
    村上氏は、安積山遺跡の発掘はかなり以前におこなわれているが、その学術的な調査報告書は刊行されていないので、当班の考古学研究者のグループで、来年度以降、その刊行をめざしたいと表明。
    出雲や石見における当該期のたたら遺跡との比較研究などをを通じて、関係者に対する学術的な情報提供と議論の広がりを期したいと述べた。
    『紀要』別冊の標題について、原案通り、「近世播磨のたたら製鉄史料集」とすることが承認された。
    来年3月末の刊行をめざすことになった。
  • たたら製鉄研究班第3回研究会(令和元年12月1日(日)午前/館内会議室にて/11名参加)
    まず坂江が「令和元年度の事業の中間報告と今後の計画」について説明。
    その後、笠井今日子共同研究員、大槻守客員研究員、伏谷聡共同研究員が、『紀要』別冊の刊行に向けての翻刻作業等の進捗状況を述べた。
    討論では、来年度の7月、『紀要』別冊の刊行記念のシンポジウムを開くことが決められた。

(文責・坂江渉)