たたら製鉄研究班の今年度1回目と2回目の研究会を、6/3と10/7に開催した(いずれも館内にて)。

1回目の研究会では、笠井今日子共同研究員が、「鉄山御請負御用留」と題する報告をおこない、本史料の記録主体が山崎の千草屋であり、1653~1707年に至る鉄山請負に関する編纂物であることが紹介された。
その後、山崎藩時代と幕領編入後の産鉄のあり方や請負状況の特質、および地元百姓と製鉄業との関わりなどについての見解が示された。
これに対しコメンテーターの岩城卓二客員研究員は、①本史料は17世紀の製鉄実態を語るものとして興味深いが、②他方で史料の全体像を掴むことが重要で、現段階では依然不明な部分が多い、③千草屋と幕府・権力との関連だけではなく、地元百姓(=百姓成り立ち)との関わりにも眼を向ける必要があること、④千草屋は幕府との関わりで、黒字経営できていたかも疑問、などの見解を述べた。
また大槻守客員研究員から、本史料を含む館蔵関連史料を翻刻する計画が提起され、9月以降、それに向けての小研究会を立ち上げることになった。
さらに11/4開催予定のひょうご歴史文化フォーラムの中身についぼ原案通りに承認された(15名参加)。

14名が参加した2回目の研究会では、11/4に開催されるひょうご歴史文化フォーラムに向けて、笠井・田路・土佐の講演要旨報告があり、また大村歴史研究推進員が、3/3(日)の成果発表会に向けて講演要旨報告した。
11/4当日のパネルディスカッションの討議内容について、①宍粟でのたたら製鉄の歴史的意義を、地元市民に対しアピールする形で進める、②出雲・石見と対比した、播磨たたら製鉄の独自性に留意する、③地元の百姓の「成り立ち」とたたら製鉄との関わりにも眼をむけた議論をおこなう、など3つの柱を立てることになった。
また『宝暦六年鉄山一件』『播州宍粟郡鉄山請負御用留』の翻刻史料集の刊行に向けて、大槻客員研究員と伏谷共同研究員から、翻刻の進捗状況と史料集のサイズと段組等について説明があった。
12/12(水)に2回目の小研究会を開かれる予定である。
今年度の研究成果フォーラムは、当班を中心にして、「ひょうごの鉄生産と流通 ~弥生時代から近代まで~」と題して、3/3(日)におこなうことが承認された。
開催会場は、姫路文学館講堂とする予定。
詳細は11月末頃に公表予定。

(文責・坂江渉)