ひょうご歴史研究室では2015年の開設以来、今から約1300年前の奈良時代に書かれた『播磨国風土記』の神話や地名起源説話を研究してきました。その成果を若い世代に普及するため、隣接する姫路東高校と連携し、書道部の生徒が写真版を手本にそのまま書き写す、「臨書」に挑む企画を立てました。

 書の監修者の魚住和晃神戸大学名誉教授と坂江が、昨年12月から2度の出前講義を行い、書の特質や伝承の意味を説明。その後11人の生徒たちが、気に入った一節を選び、約2カ月の練習を経て書き上げました。現在その作品群が、県立歴史博物館2階無料ゾーンで展示されています。

生徒たちの作品
魚住先生による講評会の時(5月8日)

 作品を仕上げた生徒からは、「奈良時代の頃から、日女道(姫路)・新良訓(白国)・餝磨(飾磨)の地名があることに驚いた。地元の歴史に親しみを感じる機会になった」「40字以上の文字を臨書することは初めてで、とてもしんどかった。出来た時は達成感を得られた」などの感想が出されました。

 この企画は、藪田貫館長(室長)・魚住先生・事業企画課などと相談して立案しました。高校生が主役になって、かなり長文の資料を、しかも地元地名に即した伝承を書き写す企画は、全国的にみて珍しいと聞いています。若い世代と地域文化をつなぐ手段として、大きな手応えを感じました。今後も、播磨各地の高校の書道部と連携を深めていきたいと思います。

 作品展は5月28日(日)まで。午前10時~午後5時(最終入館は4時半まで)。月曜休館。