概要

ひょうご歴史研究室は、平成27年(2015)4月、県民の郷土に対する愛着を深め、「ふるさと意識」に根ざしたひょうご文化の発展・継承をめざし、兵庫県立歴史博物館内に開設されました。県内の歴史系博物館、資料館、自治体、大学、民間団体の関係者と協力して、ひょうごの地域史研究と、その成果の普及・活用にあたっています。

室長(藪田貫館長が兼務)のもと、共同研究にあたる館内外の研究者30名以上を、「客員研究員」「共同研究員」などに任命し、室内には非常勤の研究員2名(研究コーディネーターと歴史研究推進員)と事務職員1名を配置しています。現在、①大阪湾岸と淡路の地域史研究、②赤松氏と山城、③たたら製鉄、という3つのテーマ研究をすすめています。また令和2年度からは、「鳴門の渦潮」調査研究プロジェクトに着手しています。なお、令和3年11月の『『播磨国風土記』の古代史』の刊行(詳しくは令和3年12月8日付けの研究員のブログをご覧ください)を一つの区切りにして、7年間つづけた『播磨国風土記』研究班は、発展的に解消されました。

研究組織

大阪湾岸と淡路の地域史研究班

令和4年度に新たに発足した大阪湾岸と淡路の地域史研究班は、「これまでの淡路島日本遺産委員会との連携成果を踏まえ、前近代の大阪湾岸、淡路島の地域史研究に取組む。その成果を地域資源を活かしたまちづくり事業に反映させる。また前年度刊行の『『播磨国風土記』の古代史』の普及をめざす」という基本方針を掲げています。

淡路島日本遺産委員会、淡路3市、島根県古代文化センターなどと連携して、広く前近代の大阪湾岸と淡路の地域史研究をすすめる予定です。現在の構成メンバーは8名です(文献史2、考古学5、日本彫刻史1)。

赤松氏と山城研究班

中世の赤松氏と山城について、文献史学と考古学の双方から共同研究しています。現在の構成メンバーは12名です(文献史5、考古学7)。令和4年度は、「これまでの「赤松館」と城山城の調査・研究の成果を踏まえ、前期赤松氏の拠点形成について総括し、その情報発信をめざす」という研究方針を立てています。令和4年度の秋以降、調査研究の区切りとなる県民向け企画を催す予定です。

たたら製鉄研究班

近世播磨のたたら製鉄について、宍粟市を主な調査フィールドとして、文献史学と考古学の両面から基礎的研究を試みています。平成30年度以降は、製鉄遺構がたくさん見つかっている島根県や岡山県の関係者とも共同研究しています。令和4年度は、「宍粟市と共同して、考古部門と文献調査部門の基礎的研究をすすめるとともに、その成果にもとづき、令和5年度以降に県民向けの『たたら製鉄解説書』(仮)の刊行をめざす」という研究方針を立てています。昨年度までのメンバーが2人勇退されたことにより、1人の新メンバーを加え、現在は9名で構成されています(文献史4、考古学5)。

「鳴門の渦潮」調査研究プロジェクト

令和2年度から4年度までを研究期間とする本プロジェクトでは、「『「鳴門の渦潮」と淡路島の文化遺産』(仮)を刊行し、研究の区切りをつける」という方針を掲げました。令和3年12月、学術目的で刊行した『淡路島文化財総合調査報告書(1988-2000)』の成果を踏まえ、自然科学研究者とも連携して、報告書の刊行をめざします。