新型コロナウイルス感染が猛威を振るう中、師走を迎えました。各地でイルミネーションが点灯され、クリスマスが間近だと教えています。当館の人気行事、友の会イベントボランティアによるワークショップ歴はく倶楽部では先月の22日、「革でクリスマスツリーをつくろう」が開催され、子どもたちが挑戦しましたが、その折、イベントボランティアの方たちが作った作品を、一足早く、クリスマスプレゼントとして頂きました。いま、館長室のセンターテーブルにドンと置かれています。出勤して部屋の扉を開けると、気分が和みます。

 クリスマスと言えば、クリスマスギフト、お正月と言えば、お年玉ということで、コロナ禍にあっても子どもたちにとってこれからの日々は、「おいしい」「甘―い」季節です。

 わたしにはもう、そんな期待感はありませんが、人様に、プレゼントを頂く機会がなくなることはありません。そこで師走の話題として、近年、頂いたギフトの中から、3点、紹介します。

 1番目は、この陶器の置物。10年以上も前の2008年(平成20)に還暦祝いとして、教え子たちから贈ってもらったものですが、一見して分かるようにリサ・ラーソンの作品。スウェーデンの陶芸家として、今ではとても有名な作家ですが、貰った当時わたしはリサを知りませんでした。選んでくれた学生たちは知っていたのでしょうから、若い世代からプレゼントを貰うことの妙味と言えるでしょう。

 ライオンの上に鳥が止っていますが、その足は、2018年6月18日の北摂地震の折、転倒して折れました。それで今は、ボンドで修復してあります。まさに名誉の負傷です。

 2番目は、2016年11月に頂いたこの座布団。落語家が高座で座る位の大きな座布団で、表は青海波せいがいは など柄物のパッチワーク、裏は真っ赤という代物です。すべて手作りという貴重品。姫路市網干あぼし 区の旧家加藤家で行われた網干サロンでの講演の謝礼として頂いたものです。講演の前に手料理を頂き、夜分に座敷で話すという趣向も驚きでしたが、一番の驚きは、この座布団。大きな風呂敷に包まれて、自宅まで持ち帰りました。勿体なくて、まだ一度も座っていませんが、手縫いの風呂敷と座布団に接して、日々忘れかけていた日本文化を思い出しました。

 3番目は今年7月のブログで触れた新著『大阪遺産』の御礼として、遠く青森から届けられたギフトです。はるか昔、小学校の社会科で習った東北の民家曲屋まがりや の模型です。傍に、妻の愛するリカちゃん人形が座っているので、その大きさを想像できるでしょうが、このサイズにも関わらず、母屋の座敷には廊下に沿って障子が められ、牛のいる小屋には窓に桟、さらに家庭用水車までが付いています。四方のどこから見ても立派な家屋です。

 この模型の制作者は、青森市の藤野勇さん。長年、大工として雪国で建築業を営まれ、引退後はその腕を、歴史的な建造物の縮尺模型造りに活かしておられます。秋田県小坂町に現存する芝居小屋康楽館の模型を作っておられたことから、2014年(平成26)、大阪道頓堀の芝居小屋角座と浪花座の模型の制作を依頼しました。その経緯は『大阪遺産』に紹介していますが、小著を寄贈した返礼として突如、届いたものです。

 大きな箱を開いて驚いたのは、曲屋もさることながら、箱に緩衝材として詰められたかんな の削りくず。削りくずの袋を開けると、檜の匂いがプワーとあたり一面に広がりました。まさに、作り立てのヒノキ製の曲屋だったのです。