当館のHPに掲載されているブログ「館長室へようこそ」を、お読みいただきありがとうございます。いつもカタイ話をしているな・・・と我ながら、思うのですが、柔らかな話題を探すのはなかなか難しいのが本音です。まずは「毎月、更新して継続することが大事」、と割り切っているとご理解下さい。
 さて今月は、3月から入居している地下の仮館長室にご案内します。

 

 兵庫県立歴史博物館の大規模改修は「居ながら改修」ということで、職員一同、平日は博物館に出勤して執務しています。しかしその居場所は、工事の進捗と共に移動しているのです。わたしも、昨年9月の工事開始から今年の2月まではいつもの一階の館長室にいましたが、いよいよ出入り口を含む一階のフロアー全体が工事の対象となることで地下一階に引っ越しし、今は、仮館長室暮らしです。
 朝、バスを降りて博物館に向かうのですが、今朝は大きなクレーンが、洗浄されて白さを取り戻した博物館を見下ろすように立っていました(写真1)。

写真1

 いつもの通用口から入るとそこは大改修工事の現場。検温器と消毒薬が置かれているのはいつも同じですが、その先は、日に日に、様子が変わります。なにせ建築・電気設備・衛生設備・空調設備が、それぞれ平行して行われているのですから。
地上階から地下1階に降りるには、畳二枚分位の鉄の扉を押し開けて階段を下るのですが、地下に至る電気の太いケーブルを避けての歩行となります(写真2)。トイレは地上階なので、用を足すには、この階段を上りますが、ヘルメットを被った作業員さんとすれ違う際には、場違いの場所に迷い込んだ気がします。7月の安全管理の目標は、躓き・転倒災害の防止ということなので、気を付けたいと思います。

写真2

 地下一階に降り、左手に向かうと長い廊下に沿って仮事務室がありますが、ご覧のように、所狭しと荷物が積まれています(写真3)。仮事務室には、段ボール箱を開けて置けるスペースがないのです。

写真3

 右手に向かうと仮館長室と次長室があります。前方にソファーが窮屈に並んでいるのが館長室で、右手奥に次長室があります(写真4)。どちらも自然光は差し込まず、電灯の光のみ。置けるのは会議用のソファーと机、書棚とロッカーのみで、書棚の隣に、段ボールが積んであります。9月には再び、一階への引っ越しが待っています。

写真4

 まさに仮設の生活ですが、せめて季節感を入れたくて、ソファー前のテーブルに敷いたのは伊藤若冲の版画「玄圃瑤華」を組み合わせた手ぬぐい。そしてロッカーには、播磨国総社射楯兵主神社からいただいた茅の輪のミニ飾りを吊し(写真5)、仮設の中での身の安全を守ってもらっています。

 

 夏場になって困ったのが、湿気。気温は25度前後で安定していますが、湿度70%台。エアコンをドライにしてどうにか60%。地下室で暮らした経験がないのですが、夏場の地上にいる感覚は、ここにはありません。くわえて携帯の電波が届かないという難点も。そこで昼休みや退庁時に地上に出ると、一斉にメールが入り、慌てて返信をする有様。地下生活が身に沁みます。
 幸いスタッフ一同、体調を崩す人もなく元気にしています。この9月に地上に戻る予定ですが、その時に、この空間が懐かしくなるでしょうか?