丹波(たんば)

 丹波国と同じ。現在の京都府と兵庫県にまたがる地域。国府、国分寺は、ともに現在の京都府亀岡市(かめおかし)に所在する。兵庫県の丹波地域は、現在、丹波篠山市・丹波市の2市。

 
豊林寺(ぶりんじ)

 丹波篠山市福井に所在する真言宗の寺院。玄渓山(げんけいざん)と号する。伝承では、651年に法道仙人が開いたとされ、陽成天皇(ようぜいてんのう:在位876~84)の時には勅願所(ちょくがんしょ)となったと伝えられる。鎌倉時代には修験道の寺院として栄えたが、応仁元(1467)年、兵火により焼失した。再興後も、明智光秀の丹波侵攻により再び兵火をうけた。本尊は観世音菩薩坐像。

 
篠山盆地(ささやまぼんち)

 兵庫県中央部を東西にのびる山地の東端にあたる、丹波山地内にある盆地。盆地北部の山々は、日本海側と瀬戸内海側の分水界をなす。盆地周囲を囲む山々の標高は、500~800m、盆地中央部の標高は約200mを測る。

 
櫛岩窓神社(くしいわまどじんじゃ)

 丹波篠山市福井に所在する神社。延喜式(えんぎしき)で、名神大社に列せられる古社である。社殿背後の山には、磐座(いわくら:神が宿る巨岩)を祭り、古代信仰を伝えている。祭神は、櫛岩窓命(くしいわまどのみこと)、豊岩窓命(とよいわまどのみこと)、大宮比売命(おおみやひめのみこと)で、3神の木像は重要文化財に指定されている。

 
延喜式(えんぎしき)

 藤原時平、忠平らにより、延喜5(905)年から編纂が始められた法令集で、全50巻。完成は927年。967年から施行され、その後の政治のよりどころとなった。

 
名神大社(みょうじんたいしゃ)

 延喜式で定められた神社の社格。鎮座の年代が古く由緒正しくて霊験ある神社。名神社。

 
櫛岩窓命・豊岩窓命・大宮比売命
(くしいわまどのみこと・とよいわまどのみこと・おおみやひめのみこと)

 『古事記』によれば、アマテラスオオミカミが天の岩戸(あまのいわと)から出て御殿に入った際、その門を守った神が、櫛岩窓命と豊岩窓命であり、仕えた女官神が大宮比売命であったとされる。このため朝廷でも、この3神への信仰が深かったという。

 
豊林寺城(ぶりんじじょう)

 丹波篠山市福井に所在する中世の山城跡。豊林寺背後の城山山頂(520m)にあり、福井城、大雲城(おくもじょう)とも呼ぶ。応永年間(1394~1428)に築かれ、大芋氏(おくもし)代々の拠点であった。

 
丹波志(たんばし)

 江戸時代(18世紀末)に編纂された、丹波地域3郡(天田郡(あまたぐん:現京都府福知山市)・氷上郡(ひかみぐん:現兵庫県丹波市)・多紀郡(たきぐん:現兵庫県丹波篠山市))の地誌。全21巻25冊。編集は篠山藩の永戸貞著(ながとていちょ)と、福知山藩の古川茂正(ふるかわしげまさ)。まとまった史料に乏しい丹波では、地域研究に欠かすことのできない資料である。

 
追手神社(おってじんじゃ)

 丹波篠山市大山宮に所在する神社。祭神は大山祇命(おおやまつみのみこと)。創建年代は不詳である。境内にあるモミの巨木(千年モミ)は国指定天然記念物。

 
但州湯島道中独案内
(たんしゅうゆしまどうちゅうひとりあんない)

 江戸時代に出版された、城崎温泉への旅行ガイドブック。宝暦13(1763)年版と文化3 (1806)年版があり、国内各地に現存。温泉の効能と入浴方法、環境、歴史、名所案内、みやげ物、交通路と交通費などが記されている。旅行に携行しやすいよう、ごく小型の書物(約7cm×16cm)となっている。

 
千年モミ(せんねんもみ)

 追手神社(おってじんじゃ)境内にあるモミの巨木。樹高34m、幹周り7.8m、推定樹齢は800年とされる。

 
追入神社(おいれじんじゃ)

 丹波篠山市追入に所在する神社。秋祭で奉納される三番叟(さんばそう・さんばんそう)は、江戸時代中期に伝えられたといわれる。

 
三番叟(さんばそう・さんばんそう)

 能の翁(おきな)で、千歳(せんざい)・翁に次いで3番目に出る老人の舞。正月や秋祭などで、祝いのために舞われる。多く場合、千歳・翁・三番叟の3つの舞からなり、これらを式三番という。翁には猿楽の伝統を伝えるものや、能・歌舞伎・人形浄瑠璃の影響を受けたものがある。兵庫県では摂津・丹波・但馬を中心に広くおこなわれている。

 
鐘ヶ坂(かねがさか)

 旧多紀郡と氷上郡の郡境をなす峠。両地域を結ぶ街道が通る交通の要衝。『但州湯島道中独案内(たんしゅうゆしまどうちゅうひとりあんない)』では、「鐘が坂追入の村はずれよりとげ登り十丁余難所の峠」 とされる。特に丹波市側からが急峻な難路であった。明治16(1883)年に鐘ヶ坂隧道(ずいどう)、 昭和42(1967)年には鐘ヶ坂トンネル、さらに 平成18(2006)年には、 新トンネルが開通した。

 
苅野神社(かりのじんじゃ)

 丹波市柏原町上小倉(かいばらちょうかみおぐら)に所在する式内社(しきないしゃ)。祭神は葛原親王(かづらはらしんのう)。元は鐘ヶ坂の麓にあり、現在、旧鎮座地には古宮(ふるみや)と呼ばれる祠(ほこら)が祭られている。

 
式内社(しきないしゃ)

 『延喜式』の「神名帳」に掲載されている神社。全国で2,861か所。