市川 円山川
神積寺 天台宗
播磨天台六山 宝篋印塔
薬師如来 文殊菩薩
切戸 鬼追い・追儺式
金剛城寺 七種山・七種滝
 
市川(いちかわ)

 兵庫県の播磨地域中央部を流れて瀬戸内海に注ぐ河川。青倉山(標高811m)付近に源流をもち、延長は75.8km、流域面積は596平方キロメートル。神河町の越知川は最大の支流である。市川に沿う経路は、山陰道と山陽道を結ぶ街道(但馬道)として利用されてきた。

 
円山川(まるやまがわ)

 兵庫県北部を流れて日本海に注ぐ但馬最大の河川。朝来市円山から豊岡市津居山(ついやま)に及ぶ延長は67.3km、流域面積は1,327平方キロメートル。流域には平野が発達し、農業生産の基盤となっている。河川傾斜が緩やかで水量も多いため、水上交通に利用され、鉄道が普及するまでは重要な交通路となっていた。

 
神積寺(じんしゃくじ)

 神崎郡福崎町に所在する天台宗の寺院。妙徳山(みょうとくさん)と号する。正暦(しょうりゃく)2(991)年、慶芳上人(けいほうしょうにん)が文殊菩薩のお告げにより創建したと伝えられる。平安時代後期には隆盛し、播磨六ヶ山(播磨天台六山)の一つに数えられた。延慶(えんきょう)2(1309)年、火災のため焼失し、天正15(1588)年に再建された。本尊の薬師如来座像は重要文化財であり、境内の石造板碑(いたび)、石造五重塔などは県指定文化財となっている。創建の故事から、「田原の文殊さん」として親しまれている。

 
天台宗(てんだいしゅう)

 隋(ずい)の天台智者大師により開かれた仏教の宗派。法華経を根本経典とする。平安時代前期に最澄(さいちょう)が入唐してこれを学び、帰国後、比叡山延暦寺を開いて教えを広めた。後にはしだいに密教化した。鎌倉時代には、天台宗より多くの新宗派が出た。

 
播磨天台六山(はりまてんだいろくざん)

 兵庫県播磨地域における主要な天台宗寺院。播磨六ヶ山ともいう。円教寺(えんぎょうじ)、八葉寺(はちようじ)、随願寺(ずいがんじ)、一乗寺(いちじょうじ)、普光寺(ふこうじ)、神積寺(じんしゃくじ)の6寺院。

 
宝篋印塔(ほうきょういんとう)

 本来は「宝篋印陀羅尼経(ほうきょういんだらにきょう)」を納めるための塔。日本では平安時代末ごろから作られるようになり、鎌倉時代中ごろからはその役割が、墓碑や供養塔に変化していった。多くの場合石塔である。

 
薬師如来(やくしにょらい)

 東方浄瑠璃世界(とうほうじょうるりせかい)の仏。修行者の時に12の願を立てて成仏したとされ、衆生(しゅじょう)の病気を治し、安楽を得させる仏とされている。仏教の伝来以後、治病の仏として広く信仰された。薬壺(つぼ)を持つ像が多い。

 
文殊菩薩(もんじゅぼさつ)

 仏教における菩薩の一つ。文殊師利菩薩(もんじゅしゅりぼさつ)の略。普賢菩薩(ふげんぼさつ)とともに、釈迦如来の脇侍をつとめる(釈迦三尊像など)。知恵の菩薩として信仰されており、「三人寄れば文殊の智恵」などのことわざでよく知られる。

 
切戸(きれど)

 京都府宮津市天橋立文殊に所在する小字(こあざ)。同地には「切戸の文殊」として知られる天橋山智恩寺(てんきょうざんちおんじ)がある。智恩寺は、奈良県桜井市の安倍文殊院、山形県高畠町の亀岡文殊堂とともに、日本三文殊のひとつとされる。

 
鬼追い・追儺式(おにおい・ついなしき)

 鬼会(おにえ)、追儺会(ついなえ)、鬼遣(おにやらい)ともいう。追儺は本来、疫病をもたらす鬼を払う年越しの行事であったが、仏教における新年の行事である修正会(しゅしょうえ:その年の平安と豊穣を祈願する行事)と結びついて各地に広まった。現在では、鬼追いの鬼は儺(疫鬼)を払い疫病を除くものとされている。式では、鬼に仮装した人が松明、鉾、剣などを持って、さまざまな所作をおこなう。なお節分の豆まきも、追儺式が起源とされている。

 
金剛城寺(こんごうじょうじ)

 神崎郡福崎町に所在する真言宗の寺院。七種山(なぐささん)と号する。元の名称は作門寺。7世紀前半、高麗の僧恵灌(えかん)の創建と伝えられ、また法道仙人を導師としたという。8世紀に焼失後再建され、勅命により金剛城寺と称して行基を迎えたという。後に廃寺となったが、17世紀に復興されて作門寺と称した。本来は七種山山中にあったが、明治初年に現在地へ移った。縁起によれば、滋岡(滋丘とも書く)川人(しげおかのかわひと)が、当地の干ばつに際して、人々に鉢から七種の種を分け与えて救ったが、その種は尽きることがなかったといい(「七種の川人」伝説)、これが山号の由来となっている。

 
七種山・七種滝(なぐさやま・なぐさのたき)

 七種山は神崎郡福崎町に所在する山で、標高は683m。峻険な頂上と中腹にある七種滝が著名。七種滝は合計48の滝からなり、兵庫県の観光百選にも選ばれる。うち最大の雄滝(七種滝)は落差72mを測り、県下屈指の規模を誇る。