第3扇に源義経(よしつね)の鵯越(ひよどりごえ)坂落、第6扇に馬に乗り海に入った平敦盛(あつもり)が熊谷直実(なおざね)に呼ばれ引き返す場面が確認できる。これらから『平家物語』、一の谷合戦を描いた作品だと分かる。一の谷合戦を描いた屏風は、屋島合戦を描いた屏風とで1双をなすものが多く、本作品も一の谷・屋島合戦図屏風(6曲1双)の右隻と考えられる。一の谷・屋島合戦図屏風の作例は多いが、高い視点から描写されていること、交錯した金地と金雲の表現、軍兵を画面一杯に描いている点などが本作品の特徴であり、これと同じ特徴をもつ作例には埼玉県立博物館本、永青文庫本、東京富士美術館本などがある。描写は細部まで精緻であり、凄惨な場面までもが克明に描かれている。款印が無いため作者は不明だが、狩野派の絵師によって描かれた屏風であろう。左隻の出現を望みたい作品である。
資料解説
第3扇に源義経(よしつね)の鵯越(ひよどりごえ)坂落、第6扇に馬に乗り海に入った平敦盛(あつもり)が熊谷直実(なおざね)に呼ばれ引き返す場面が確認できる。これらから『平家物語』、一の谷合戦を描いた作品だと分かる。一の谷合戦を描いた屏風は、屋島合戦を描いた屏風とで1双をなすものが多く、本作品も一の谷・屋島合戦図屏風(6曲1双)の右隻と考えられる。一の谷・屋島合戦図屏風の作例は多いが、高い視点から描写されていること、交錯した金地と金雲の表現、軍兵を画面一杯に描いている点などが本作品の特徴であり、これと同じ特徴をもつ作例には埼玉県立博物館本、永青文庫本、東京富士美術館本などがある。描写は細部まで精緻であり、凄惨な場面までもが克明に描かれている。款印が無いため作者は不明だが、狩野派の絵師によって描かれた屏風であろう。左隻の出現を望みたい作品である。